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これまで黙っていた順子が父にねえ、と優しく尋ねる。
「わたしのことお母さんはどう思っていたの? 」
「どうして聞くのかい? 」
「知りたいの 」
正面からではないが順子の真っすぐと外さない大きな瞳が見え、そこに強い意志を感じ取れる。
彼女の気迫に賢二は表情が固まりたじろいたが、やがて眉を開きしっとりと瞳を湿らせた。
「おまえを愛していたよ。 家は貧しくても心は豊かでいて欲しいって言って娘の夢が叶うのをいつも願ってた。 最期の日にも言ってたなあ、おまえの花嫁衣裳を見たかった、って 」
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