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心の中でカチリ、と歯車が噛み合って錆びついた古い記憶の箱の口が開きかける。
悪霊を退治して人助けをする、この気持ちこそが狩りを始めた初期の頃に馳せた、狩りをする動機のような気がした。
しかし、これ以上は記憶の箱の口が開くことはなく。
まだ足りない?
未だ原初の狩りの動機を掴めないことに歯痒く思った。
「他に方法はないでしょうか 」
不意に思慮の外から矢が飛んできた。
それは順子の声で。
眉根を寄せ懇願するような、しかし確かな決意を含んだ表情。
「母のために、母の想いに応えたいんです 」
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