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悪霊となった里美の行動は、娘の花嫁衣裳を見たいという未練から起因している。
ただし、願いを果たすことのできない悲しみにより、素朴で純真な未練は歪に曲げられて、花嫁たちを襲うようになってしまっていた。
真、光鬼、順子の3人が来ていたのは、順子の友人が被害に遭った事件現場である式場ホール。
被害を最小に抑えるために賢二には、家で待っていてもらっている。
ここは順子の勤め先が管理している建物であるため融通が効いたのだ。
直近で式の予定はないため、出席者のための席や新郎新婦の席、式を彩る装飾の類も全くない。
「ほんとにいけるか 」
「ここにきて不安なの? 」
空っぽのホールで、落ち着きなく足を止めない光鬼が準備をするこちらに投げかけた。
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