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「逃げなさい…さ…」
一人の男が切なげな目をしながら俺にそう告げる。
自分の視界がどうにかなっているのか相手の顔はぼんやりとしていてよく見えなかった。だが…
「ウィ…さん…うわぁぁぁ!!」
俺はその人がとても大切な人だったのだろう…
そして今、この場から離れる事イコールその人との別れを意味する事を直感で感じた俺は声にならない悲鳴をあげて誰かの名前を叫んだ!
「いくぞ!さ…」
そんな俺の肩を別の誰かが掴み無理矢理その場から離れさせようとする。
「離せ!しゅう…」
俺は乱暴に掴んだ手を振りほどこうとする。
だが…
ドス!!
「許せとは言わない…だが…」
「な…」
男は俺の腹部に一撃見舞った。
「お前をここで死なすわけにはいかないんだ」
男はそういうと更に無防備な俺に何かをした。
「く…そ…」
俺はたぶん何かされたのだろう、そう呟きながらも世界が暗転するのを感じていた。
そして―
程なくして俺は為す術もなく、そのまま意識を手放したのだった…
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