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しかし習慣とは恐ろしいもので、まず全員で用を足してから、やっと驚くことにした。
「和也死んでる?」
僕の問いかけに、和也は答えなかった。
無視されたことに腹を立てた僕は、これ以降、和也と口をきいていない。
「これは……殺人事件だ!」
沢木が叫んだ。シュプレヒコール。
「これは殺人事件だ!」
「これは殺人事件だ!」
「これは殺人事件だ!」
僕を除くみんなで三回ずつ繰り返した。
殺人事件。僕は、この言葉にとっさに反応した。
僕の夢は、人を殺すことだ。したがって、参考程度に、推理小説をよく読む。陸の孤島となってしまったここには、警察はこれない。したがって、犯人を逮捕するのは、僕しかいない。
僕はそう思い、まず、状況をよく見てみることにした。
和也が頭から便器に沈んでいる。かなり笑える。そう言えば……こんな話あったな……そうだ!
僕は、かなり偉そうに言った。
「まるで……大神家の一族だ」
「犬神やろ」
沢木と、西涼が一緒に突っ込んだ。本も読まないくせに知ったかぶりするな。という気持ちを抑え、僕は伸に確認した。
「大やんな」
しかし、伸も、犬神だと言った。
僕はこの言葉を聞いて、愕然とした。なぜ……こいつら……真相を……。
僕の額から、一筋の汗が流れ落ちる。
そんな僕の表情を見てか、沢木は自信に満ちあふれた顔で言った。
「犬神家の一族。大じゃなくてな」
完敗だった。まさかこんなに奴らの頭が切れるなんて……。
「もう止めろ!」
と、突然、僕の敗北空気を一掃する声がした。振り返ると、いつの間に来ていたのか、僕の親友でお金持ちの孝司がいた。
「今は争うときじゃない。犯人を捜すときだ」
この孝司の言葉に僕は、未紹介キャラのくせに生意気だ。と、怒りを覚えずにいられなかった。
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