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3
沢木の指示で、和也の死体を引き上げることにした。引き上げてみると、和也は、かなり不細工な顔で死んでいた。みんな、笑いをこらえながら、死体をバックルームと呼ばれる控室へ運んだ。
和也を調べた結果、口に紙をくわえていた。紙には、
「犯人は孝司」
と、書かれていた。
何だこれ?
そんなとき、伸が叫んだ。
「ダイイング、メッセージや」
アル中の言うことは、よく判らない。みんな聞き流した。
すると、西涼が口を開いた。だが、開いただけだった。
沢木が続く。
「もしかして、ダイイング、メッセージじゃ……」
そうか。しまった!
僕ははっとした。
『世界の○窓から』をビデオ予約してなかったことに気付いたからだ。
沢木は続ける。
「つまり、『犯人は孝司』という言葉に何か意味が……」
沢木の話を遮って、伸が立ち上がった。
「犯人が分かりました」
またアル中が訳の分からないことを……。……えっ?
「ほんまに?」
西涼が返す。
まさか。
「ああ。奴は、『犯人は孝司』というダイイング、メッセージで、犯人を伝えようとしたんだ。犯人は孝司犯人は孝司ハンニンハタカシ……」
言いながら、伸の声は小さくなっていく、そしてまた、少しずつ大きくなってきた。
「……ハタカシ犯人は孝司。つまり犯人は、『犯人は孝司』だ!」
僕にはにわかに信じられなかった。まさか……まさか『犯人は孝司』が犯人だったなんて……。
「違うな」
西涼が言った。
「犯人は、沢木や」
「なにぃ。なんやて、もう一回言うてみ」
沢木は満面の笑みで立ち上がった。
「なんでそう思うん?」
僕は訊ねた。
西涼は自信満々の顔で、
「彼の財布の中を見せてもらってみ」
と、言った。
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