王と王子の誤算

2/7
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/80ページ
ここは、ある大陸。その九割は、魔物の住む森に覆われていた。人が生きるには厳しい環境である。 その中の人の生存領域、いわゆる“平原”。そこには多くの国が存在していた。 しかし、それも昔の事。 大陸中央にあるディアトリス帝国が、ほとんどすべての国を滅ぼし傘下に入れたのだ。 “平原”南方のアカネイアス=アリティアス連合王国を中心とする国々は一年前に制圧された。 また、“平原”西方のサイフェン王国初め数国は、ふた月前にディアトリス帝国の侵略をうけ滅んだ。 サイフェン王国の第三王子が帝国の支援をうけ、クーデターをおこしたのだ。王国首都は瞬く間に陥落。さらにサイフェン王国第三王子の軍が周辺諸国まで進軍し、制圧した。 すでに“平原”西方はディアトリス帝国のものと言って良かった。 しかし、これに対しある人物が立ち上がった。 初期の戦いで第三王子に殺されたと思われていたサイフェン王国第二王子。彼は、無事な周辺諸国に決起の密書を送ったのである。 これに応じたのは辺境でも有力な国ラナクリム王国であった。 もっとも和平派の王太子シグルトは反対。しかし王と第二王子シーベンスの強行により出兵が決定した。 軍を率いるのは王太子シグルト。 総数五万。主兵力の魔鎧騎は三千。ラナクリム王国が動員可能な兵力の四分の三にあたる。 文字どうりの総力戦である。 さらに、サイフェン王国を盟主とする辺境国はすべて兵を出した。 天下分け目の戦いが始まる。
/80ページ

最初のコメントを投稿しよう!