眠れない夜

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 降りていく足元を見れば、漆黒の闇が底知れなく続いている。  明るい昼間には、到底降りる気にもならないが、夜の闇の中では、かえって親しみを感じるから不思議だ。  降りていくにつれて、さまざまなものが闇に溶けて区別がつかなくなってくる。  見えるもの、聞こえるもの、匂うもの、触れるもの、何もかもが曖昧になり、漆黒の闇の中に溶けこむ。
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