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◇
ぼんやりとかすむ視界には白い天井が広がっていた。
「あ……!」
横からこぼれるような声。それは聞き覚えのある優しい声だけれど、自分を嫌いにさせる声── だった。少し前までは。
「クレハさん、結局どうなったんですか?」
医者を呼びにいこうとするクレハさんを引き留めて言った。
「入り口で倒れていたところを別の組の人が助けてくれたって。任務は完了。よくやったと言われたわ」
「そう」
「カイトが斃したんだよね、あいつら。私は何もできなくて、その……」
俺はクレハさんの口を押さえてその先を制した。そして、代わりに大切な言葉を繋げる。
「クレハさん俺は最優の援護士になるよ。絶対に誰も死なせやしない援護士に。必ずなってみせる」
誓った。クレハさんと隊士の皆とこれから関わる全ての人に。
それと、誰よりも弱いけれど誰をも守りたい自分自身に向けて。
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