イチ秒の力
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◇ 俊敏に岩肌を駆け巡っていた魔獣が静止した。ダラリと口から垂れる青紫の舌、敵を睨む赤い双眸、黄色のごつごつした皮膚。 全てが止まり、次の瞬間には女の剣によって腰から真っ二つに分断された。 白銀の細身な剣を携えるその女は離れて見守っていた少年に近づく。 「ナイスアシスト」 肩にかかる金色の髪をかきあげて女は笑いかける。少年は奥歯を噛み締めてその笑顔から目をそらした。
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