イチ秒の力

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 リードはこれ以上何も言わずに室内から出ていった。学生時代からの付き合いだ、こちらの気持ちを察してくれたのだろう。  しかし、入れ替わりにクレハさんが入ってくる。  思わずため息が漏れてしまい、それを見られた。ばつが悪くなり視線をそらすがクレハさんは別段気に留めた様子はなかった。 「次の任務だって。つい昨日完遂したばかりなのに」  目の前に提示された書類。早いなと思いつつ、それを流し読みしていくとおかしな点がいくつか目についた。 「これ間違いじゃないですか?難易度が明らかに高いです。そこそこの熟練隊士がする任務では?」 「今ある任務に大人数が出払っていて人手不足なんだって。で、回ってきたこれをどうしようかってなって最近成績の良い私達に白羽の矢が立ったわけ」  クレハさんの目は爛々としていた。自分の実力をアピールする絶好の機会だからだろう。クレハさんは立ったまま俺の返答を待っている。 「…………分かりました。行きます」  答えて支度をしに俺は休憩室を出た。
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