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ガラン、と膝をつき鎧騎士は頭から倒れ込んだ。うつ伏せのまま動かない。
「行こうか。これだけってことはないだろうから」
感情の無い声で言われ、今のでスイッチが入ったなと分かる。奥へ進む背中からひしひしと気迫が伝わっていた。
その後建物内部を探索するも敵に遭遇しなかった。その間クレハさんが前を行き俺は離れずに付いていった。それが堪らなく嫌だった。
一階、二階の全室を調べ終え三階へ上がってすぐだった。
「いる……」
クレハさんが言った。
生ぬるい風がどこからかやって来て頬を撫でていく。
「どこですか?」
小声で言った。クレハさんは黙して告げず廊下を進む。付いていくと大きな両開きの扉の前で立ち止まり、こちらに目配せをした。
この中か…………
深く息を吸い込み、ゆっくりと静かに吐いた。俺が頷くとクレハさんは片側をそっと押して扉を開いた。
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