幻想と団地の連鎖

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数日後・・・。 高校で担任の教師が朝の出欠を取っていた。 順番に生徒の名前を読み上げ、確認をとっていく先生。 「白石 沙織!!」 先生は沙織の名前を呼ぶが返事がない。 彼女の席を見ると空いていた。 「珍しいな、白石は欠席か・・。何も連絡が入ってないんだが」 「先生!!白石さんは登校途中で体調が悪くなって帰って行きました。 手を上げて発言したのは加奈ちゃんだった。 「仁藤は白石と一緒だったのか?」 「はい、保護者の方には連絡してあるので大丈夫です!!」 「そうか、それじゃあ病欠だな」 担任は納得すると出席簿に記入した。 とは言うものの、実は沙織は今東京にいる。八雲さんと森山愛さんを引き合わせるためだ。 彼女は今朝、新幹線で東京へ旅立っていた。 「月読 音々!!」 返事がない。最近音々はずっと学校を欠席していた。 「今日も休みか・・。風邪がまだ治らないみたいだな。皆も寒くなってきているから、体調管理はしっかりするように!!」 音々は風邪を理由に学校を休んでいたが、嫌な胸騒ぎを感じていた。何故だろう・・・、彼女が心配だった。 それにしても外は黒い雲に覆われ、今にも雨が降りだしそうな空だった。 遠くで時々遠雷が起き、数秒後に地割れの様な激しい音が響いてきていた。 「雷か・・、今日は天気が荒れそうだな」 先生が窓際まで来ると、暗い空を眺めていた。
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