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秋の終わりが近づいていた。 色づいた葉は茶褐色に色を落とし、力尽きた枯れ葉が足元を覆っている。 細い小道に敷かれた枯れ葉は腐食が始まっているのか足音がしない。 いつものごとく風はなく、じとっとした静けさが支配する。 ボールを探すことに集中しようとするが、何かが邪魔をする。 ふと、耳を澄ます――― カラスが鳴いている。 どこにいるんだろう?と思い空を見渡しながら歩く。 ボールを探し、カラスの姿を探す。 カラスの声に導かれるように歩いた先は、小さな広場程の大きさで、ぽつねんと子供が作ったような小山が真ん中にあった。 カラスが鳴く。 姿はない。 声がする―――― 土の下から! 途端に、汗が吹き出る……    ……胸が痛い 肌が粟立つ……    ……喉が渇く 視線は小山に釘づけに 硬直した体に鳴き声が…… いや、それは人の声? 哀しみの、怒りの、声。   あー あー あー あまりの恐怖に私は無我夢中で逃げ帰った―――― .
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