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陽はまだ高い位置にあるはずなのに、なんとなく薄暗い。 軽トラが走れる程の幅の道を歩く。 すると、  あー あー あー 声が響く。 大学に近付いていないのに声が聞こえたことにパニックに陥る、 後ろから声が迫ってくるようでがむしゃらに走った、 声は益々大きくなり、次第に熱を帯びた憤怒の叫びとなった! 鼓動は速鐘を打つように鳴り、身体中から汗が吹き出る、喉はカラカラに渇き、呼吸もままならない。 ふと、声が消えた――― 膝に手をつき辺りを見渡す、 何もない かのように見えた。 道の真ん中、 そこに人が立っていた。 熊のような体格に白い装束を着て、こっちを睨む相貌は落ち窪んだ瞳のせいで、一層恐ろしく見える。 片手に鈍く光る剣を持って、一歩、また一歩とジリジリ近付いてくる。 金縛りにあったように体が言うことをきかない! 足に根が生えたように動けない! 恐怖に焦る気持ちに拍車をかけるように、またあの声が響く、頭を割らんばかりの絶叫の中、目の前に人影があった。 一瞬の静寂 剣が降り下ろされた! 森にこの世の物とは思えぬ叫びが響き渡った――― .
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