火薬と猟犬の牙 -ジャブロー攻略戦-

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俺は今、地獄にいる。 もしかしたら地獄よりも酷く苦しい場所なのかも知れない。 鬱蒼と茂る木々をかき分け、ザク四機の小隊が進軍する。 「近くに敵が残っているかもしれない、索敵を怠るな!」 四十代に突入したばかりの隊長はしゃがれた声で味方に指示を出す。 「了解」 俺はそう答えカメラを切り替える。モノアイから見えるものは緑の木々と撃墜されたガウやザク、連邦のジムの残骸ばかりだった。 ジャブローと呼ばれるこの地域で現在非常に大きな作戦が展開されている。 連邦の拠点に集中的な打撃を与えるこの作戦、成功すれば間違いなく勢いづいてきた連邦を潰せる。 「隊長、周囲に異常はありませ」 「この戦争は最初から異常だけどな」 俺の報告を遮るように、ウィルは軽口を叩いた。 「黙れウィル、死にたくなければな」 「了解ですよっと」 第一次降下部隊はその半数以上が撃墜され、ジャブロー基地に潜入できたのはあの「赤い彗星」を含めてごく僅かな部隊のみだ。 「索敵完了……このエリアは制圧できたみたいだな」
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