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私は、愛されているわけではなかったの?
どうしてだろう。
とても、とても悲しいはずなのに、不思議と涙が出なかった。
『愛してるよ。菜月』
ベッドの中で何度も聞いた彼の「愛してる」は、最上級の愛の告白なんかじゃなかった。
本当に悲しい時、人って、泣きたくても泣けないものなのかもしれない。
「……こんなに簡単に、終わっちゃうの?」
一人ぼっちのこの部屋で、誰かが答えてくれるわけもなくて。
ギュッと目を閉じると、東條さんに初めて会った日の記憶がよみがえった。
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