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東北の政令指定都市、仙台。仙台駅から北西へ約0.8キロ、広瀬通り沿いに東北一の歓楽街“国分町”の入り口がある。 街の入り口には来訪者を歓迎するゲートがあり、歩道は広く作られ、平日は一方通行の道にタクシーや配達車がひしめく。 夜になればそれと同じ、もしくはそれ以上に仕事の帰りのサラリーマンや学生、まっとうな仕事や“そうではない仕事”をして富を得た者、様々な人種が快楽を求めてこの街に集まってくる。 その中でも、社会という世界に慣れて、それなりにその世界で生き、ある程度国分町で遊び慣れてきて少し飽きてきた者達が集まるキャバクラがあった。 そのキャバクラの名前は“Ray”。その店で送迎係として働いているのが藤岡憲二だ。 彼は元自衛官で、自衛隊を除隊後、藤岡の先輩であるRayの店長に誘われRayの送迎係として働くことになった。 今日も藤岡はいつも通りに店の閉店時間の25分後に店の入り口の前に送迎車、ワインレッドの99年式トヨタ・ハイエースを停めた。すると5分後には仕事を終えたキャバ嬢が店を出てきて送迎車に乗り込む。乗り込んできたキャバ嬢を、藤岡は各々の目的地まで安全かつ確実に“輸送”する。藤岡はこの仕事を店の営業日に淡々とこなしていた 。
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