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「おい、タカシ。おまえ客捕まえてきたか?」
店長のヒロキはいかにも店長らしく偉そうに聞いた。
「いやぁ・・・それが全然捕まらなくて・・・」
タカシは申し訳なさそうに言った。
「バカ野郎!!テメェ、上の連中に上納金渡さなきゃなんねぇことわかってんだろ?!
ただでさえテメェは稼ぎがすくねぇんだからな!!テメェの女連れてきて金落とさせろ!!」
「はい・・・わかりました・・・」
タカシは渋々返事をした。タカシとしては彼女のミクに金を出させるのは気が進まなかった。
だが、自分には指名をしてくれる客がいなかったので、稼ぐとすればキャッチで捕まえた客から
金を取るか、ミクに店に来てもらって金を出してもらうしかなかった。
タカシは店の外に出て、ミクへ電話を架けた。
「あー・・・もしもしミク?タカシだけど」
「あータカシ?どうしたの?」
いつもの調子で電話に出るミクの声を聞いて、突然タカシは自分の情けなさが心の奥から
湧き出てきて、泣きそうになってしまった。だが、背に腹は変えられなかった。
「あのさぁ・・・今日店に来ない?」
「えっ、今日?今日はもう家に帰って来ちゃったんだよねぇ・・・」
タカシの声や、突然電話を架けてきたことから、
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