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柱時計が、午後9時を知らせる金を鳴らした。
我々の視線はすべて、窓の外に向けられていた。
「11月に桜吹雪ですとわ……」
佐々木氏が沈黙を破った。
そう。
窓の外には、11月と言うのにもかかわらず見事な桜吹雪が舞っていた。
「桜吹雪……桜って事は、もしかして」
岩村氏の言葉に、一斉に一人の人物に視線が集まった。
「そうでおま。犯人はーー」
「そうよ! 私よ! 私が、私が
殺したのよ!」
視線を集めた酒田氏は、膝を崩した。
そして、続けた。
「あいつが悪いのよ。先生を裏切ったあいつが……」
「酒田はん、後は警察署でお話下さいな。ワテ予約してますさかい、早よぉピンサロ行きたいんですわ」
肩を落とした酒田氏を背に、悲しき密室殺人の起こった、この現場をワテは後にした。
【佐藤利夫の事件簿】 END
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