にゅうがくしました

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雲ひとつない快晴と、壮大に咲き誇る桜を背に私は立っていた。 まさに絶好の入学式日和だ。 ちなみに立っているのは、今日から通うことになっている中学校の校門前である。 「でぇぇぇけぇぇ」 そう、大きいのだ。 とにかく大きいのだ。 ここ氷帝学園は無駄に広いと聞いてはいたが、 まさかここまでだったとは… ?「おい」 驚き過ぎて軽く現実逃避をしていたであろう私は、 その声により現実に引き戻された。 「なななんでしょうか」 恐る恐る振り返ると、 あらまあびっくり。 美人さんが、綺麗な長髪を風になびかせながら立っているではないですか。 ?「そこ…通行人の邪魔になってるぜ」 私はハッとした。 確かに、今私が立っているのは校門前のど真ん中である。 邪魔じゃないわけがなかった。 「あ、ごめん」 そそくさと校門の端の方に移動すると、 さっきの長髪の男の子(口調で判断した)がこちらを見つめていることに気付いた。 「まだ邪魔かな?」 不安になって問い掛けると、男の子は首を左右に振った。 よかった、邪魔じゃないみたい。 ?「新入生だよな?」 「うん。君も?」 ?「おう!…で、さ」 「うん?」 私と同じく新入生らしい彼は、とある方角を指差した。 ?「入学式、行かねぇの?」 ああああああ忘れてたああああああ学校に気をとられて忘れてたああああああ 「いっ行く!!行くよ行く行くあはははは」 私が急に片言になったせいか男の子は驚いているようだ。 しかしついには男の子は吹き出して、 爽やかな笑顔になった。 …なかなか素敵な笑顔だ。 「…でも場所わかんない」 これはまぎれもない事実です。 この学校のことが全くわかりませんドヤァ!! 何故か誇らしげな私を見て、また笑う彼。 ?「じゃあ一緒に行こうぜ!」 そう言いながら笑った彼にキュンとしたのは、 また別のお話し。
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