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【飯田 甜真 様 あなたは厳正なる抽選の結果、当社が企画するゲーム「ESCAPE」への参加が決定致しました。このゲームにクリアした際には、莫大な賞金を差し上げます。是非とも参加していただきますよう、ご検討ください。尚、日時のほうは6月12日の正午より、場所は第一自然公園にて行われます。あなた様のご参加、心よりお待ちしております。】
ご丁寧に《招待状》とまで書かれた紙には、そう書かれていた。
…飯田は絶句する。
こんな漫画じみた事が、まさか自分の身に起きるなんて思ってもみなかったからだ。
「ゲーム?莫大な賞金?…馬鹿げているな」
その招待状をテーブルに放り投げ、再び仰向けに寝転ぶ。
…だが、飯田はふと思い出したように起き上がり、冷蔵庫に貼ってあるバイトのシフト表を見てみる。
「6月12日………あ、休みだ」
そう呟くと、またリビングに戻り仰向けに寝転ぶ。
…俺の人生には刺激が足りない。ただただ退屈な日々を繰り返し、ぬるま湯に浸かったような居心地の悪さを毎日感じている。今は藁にも縋る思いだ。例えガキの悪戯であろうとも、とにかくこの日常から抜け出したい。刺激が欲しい…!!
「…行ってみるか」
あたかも数合わせのために誘われた合コンのように、飯田は軽い気持ちでゲームへの参加を決意する。
…まさか、この決断が悲劇の引き金になるなど、飯田は思ってもみなかった。
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