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『お兄ちゃんッ!』
目の前の花畑の真ん中で満面の笑みを浮かべるのは我が愛しの妹。
クリッとした宝石のような輝きを写す黒の瞳。
我が家系に代々伝わる薄い栗色の髪を水色のゴムで束ねポニーテールにしているのが特徴的。
もちもちとした肌荒れ一つ無い白い柔肌とスレンダーなボディー。
世の女性が羨むような容姿をしておりそこらのアイドルより十分可愛いと断言出来るような自慢の義理の妹である。
今年中学三年という絶好の発育時期だというのに未だ発達する兆しのない胸が少々残念でもあるが。
まぁ一先ずそこについては置いておこう。
『あのね、私ね……―――』
必死に何かを伝えようと僕の手をとる。だが言葉が見つからないのだろう。
人差し指を顎にあてる仕草とかマジ萌える。柚子たんマジ天使。
『お兄ちゃんがお兄ちゃんで良かった!』
ん? どういうこと?
『だってお兄ちゃん柚子の為に毎日頑張ってくれてる』
そりゃあ、大好きな柚子の為ですから。お兄ちゃん君の為ならば火の中水の中山の中柚子の中柚子の中柚子の中、ハァハァ………フへヘ。
…………ふぅ。
『だからお兄ちゃんには感謝してるよ、ありがとう』
いやいや、感謝は身体で…………いや何でもないです。
くぅ…………それにしても親族に如何わしい感情を抱く僕は魂まで浄化されるべきなのかもしれない。
取りあえず心の声を代弁するというならば
俺の妹がこんなに可愛いわけがないッ!
いや、あったッ!
むしろ可愛い過ぎて生きるのが辛い程だッ!
今ほど近親婚が出来ない日本の法律を呪ったことはないぜ…………畜生ッ!!
……ってことなのである。
………………。
うん、やっぱり死んだ方がいいのかもしれないな。
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