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「浦正、体調悪いの?」
「・・・・・」
「おい、浦正ぁ」
「え!?あ‥悪い狂平、なんだっけ?」
無料ライブは昨日のことになった。
俺はいつもと同じ登校時間に、学校に着いたばかりだった。
「いや別に、‥おはよう」
「‥おはよう狂平」
悲しいことに、アイドルのステージのこと、そしてコナン丸のMCのことすらあまり記憶に無い。
ただ1つだけ‥
『瀬口佳奈』
『愛称はせぐ☆うぇいですよ』
「そんなボーっとして授業聞けんのか?どうした、寝不足?」
「いや‥」
別に瀬口佳奈のことが気になってる訳じゃねーし。そもそも俺にはコナン丸という天使がいてだな
「なにブツブツ言ってんだよ‥お前本当に帰った方がいいって」
「い、いや‥」
ガシャンッ
『うわぁぁぁごめんなさいっ!』
何かが勢いよく落ちた音と、気の弱そうな男子生徒の声が廊下に響いた。
「何だよ朝から‥」
「3組の武器屋だろ、アイツかなりのオタッキーらしくて、すごい避けられてるらしいよ」
「へ、へぇ‥」
「よく知らないけどアニメが大好きらしくてさぁ、毎日秋葉原行ってるとか。笑っちゃうよなぁ」
「あ、あはははは」
心臓がひっくり返りそうになった。
なんだ、その、俺も所謂オタッキーなんだよな、とか
俺だって毎日のように中野に行ってるんだけど、とか
今は誰にも言ってないけど、俺がアイドルオタクだって学校中にバレたらどうなるんだろう、とか
「‥なんでそんな汗かいてるんだよ、お前」
「・・・え」
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