二章:気に入る

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部屋に入って来たのは、 信じられないくらい綺麗な青年だった。 ぷっくりとした赤い唇。 肌は真珠のように真っ白で、 少しつり目。 一見、 人形のような美しい容姿に冷たい印象を受けるだろう。 しかし、 青年が纏っている気高いオーラと人を誘う妖しいオーラで、 誰もが騙されるだろう。 青年は部屋に入るなり、 辺りを見渡している。 「誰だ……出てこい」 青年の声は高くも低くも無く、 透き通って聞き惚れる程の美声だ。 と言うか、 この部屋と言うことは…… 「流石は『残酷の女王』ですね」 「煩い喋るな」 やはり……李蓮莠か。 俺が想像していたのとは、 全く持って反対だな。 「貴様……龍桜組長のチャン・壟謦<りゅうけい>。 本名滝川帝――…違うか?」 俺がこんな事を考えていると、 自分の組・偽名、 そして本名を言われ、 目の前に居る蓮莠を見た。
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