五章:ブレインの過去

4/10
前へ
/81ページ
次へ
血の匂いがした途端、俺は直ぐに蓮莠さんの目を見た。 『無』だった。 何も見てない。 光が宿っていない。 生きている意味さえも知らなさそうな目だった。 俺はその目に、蓮莠さんに恐怖と興味を持った。 蓮莠さんが転入してから一ヶ月後。 俺は生徒会会長になり、蓮莠さんは風紀委員長になった。 何事にも協力する為、蓮莠さんは俺に何度も喋り掛けて来た。 そんな蓮莠さんが憎かった。 大嫌いだった。 喋り掛けてきても、蓮莠さんの目は俺を見ていない。 蓮莠さんの声には気持ちが込もっていなく、淡々と喋っているだけだった。 多分誰も気付いていないだろうがな。
/81ページ

最初のコメントを投稿しよう!

371人が本棚に入れています
本棚に追加