一章:男との出逢い

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俺の言葉に、 男は今まで伏せていた顔を上げる。 家族が巻き込まれるのは予想していなかったのであろう。 男は信じられない、という顔で俺を見詰めている。その瞳には驚愕と共に怒りも見てとれる。 フフ……良い顔だ。 裏切り者にはこれくらいの罰を受けて貰わなければ。必ず出るであろう裏切り者に示しが付かないからな。 「お願いします! 家族だけには……家族だけには手を出さないでください!妻のお腹の中には子がいるのです! だから……だから……」 男は土下座を何度もしながら、藁にもすがる思いで俺に言っているのだろう。先程とは違い、力強く言っている。其ほどまでに家族が大切なのだろう。 しかし、 俺は次期首領だ。情けなんてかけてはいけない。 「連れて行け」 俺は部屋に居るガタイが良く、 厳つい顔をしている部下に言う。元・SPの奴等だから、力も強い。
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