第零章

5/6
前へ
/86ページ
次へ
「ふむ、よくきたの。皆、頭を上げい」  元老がそう言うと、皆、一斉に頭を上げ、僕の方へと視線を送りつけてくる。  突き刺さるような視線。  敵意の込められた視線。  まるで獲物を狩る獅子のような視線。  視線が突き刺さる。もちろん痛いわけではない。だが、見られているという、不快な感覚が僕を襲ってくる。  目。  目。目。  目。目。目。  目目目目目目目目  目      目  目目目目目目目目  目      目  目目目目目目目目  目      目  目目目目目目目目。  目が。  視線が僕を捕まえる。  彼らの視線はおよそ想像のしがたい憎悪が込められており、それは全て僕へと注がれる。  憎しみ。  妬み。  それらが、その場にいる六人全員(元老を除く)の憎悪の念が、僕に伝わってきた。  そして、その視線のおかげで、これからなにが起こるのか、なぜ彼らがそんな視線を送るのか、全てを理解した。 「まぁ、座れ」  元老は、彼と相対的な位置に置かれている座布団を指し、僕にそう告げる。
/86ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加