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僕は視線を浴びながらも、元老の指示通りに、座布団へと座り込む。
「今日主を呼び出したのは、他でもない、主に伝えねばならんことがあるからだ」
元老は、しわだらけの顔を、さらにしわくちゃにして、僕を見据える。
「そして──儀式を行うためでもある」
──どくん。
心臓が、ひときわ大きく動いた気がした。
──どくん。どくん。
それはどんどん強くなり、その間隔も速くなってくる。
「主を──」
視線がより一層強ばる。
心臓の音は、ついには太鼓をたたくように激しく鼓動を始めた。
──止めろ。
──止めろ。
元老の口が、ゆっくりと開かれ、その奥から、空気をふるわせる振動が、僕の耳へと直進してくる。
そして──
「主を、正式に霜月の跡取りに任命する」
その日、僕の人生の輪は、大きく狂い始めたのだ。
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