悟りの教示者

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プレイの感覚さえ戻せば、自分にもチャンスがある。 お金は無いが、時間は腐る程ある。 大学生になって、満たされない部分があった。 それは、友達でもなく、ゲームでもなく、のめり込む程にハマる何かだった。 その日は頭の中はマジックの事でいっぱいになって、講義の内容や、昼飯に何を食べたかとか、コンビニで何を買ったかとか、いつもなら覚えている事すら忘れてしまう程、マジック思考になっていた。 ボロくて次に台風が来たら吹き飛ばされてしまうかもしれないが、家賃の安さが取り柄のアパートに帰るなり、夕飯に何を作るか考えもせず、押し入れを漁った。 カードゲームの思い出に、古本屋で雑誌を買い漁り、当時の熱狂ぶりをいつでも味わえるように買ったのを発掘するためだ。 今回のマジックの大会はかなり特殊だ。 一番最初のエクステンデッドルールに従い、デッキを注文・登録し、必要ならば持っているカードも使用出来る。 ボクがプレイした時には、現在のエクステンデッドルールになっており、古いカード(マジック黎明期に出たモノ)となると検討すらつかない。
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