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突如、なにかが官兵たちの間をすり抜けた。
と同時に、兵たちの何人かが音もなく倒れたのだ。
「おいっ、どうした!?」
兵隊たちの頭目であろう一人が、その倒れた兵士数人に駆け寄る。
他の兵隊も何が起きたのか分からず困惑している。
(一体、何が起きているんだ…?)
突然の影の出現で、永岡は飛び出すタイミングを逃した。
その永岡は、やはり木立に身を隠しながら状況を確認しようと目をこらす。
官兵たちはその間、動揺している。
それはそうだろう。
たかだか田舎の農村を占拠しようとしたところ、不意打ちを食らい
しかも相手の正体がまるで掴めない。
そうしている間にも、日は西に傾いていく。
「日没までには終わらせたい。
とにかく、油断はするな」
狼藉隊の頭目らしき男がそう言ったのを聞いた。
(これはいよいよ危ないな…)
永岡は再び覚悟を決め、木立の中からゆっくりと官兵たちに近づいていった。
官兵たちは村から少し外れた林の中にいる。
永岡が潜んでいた木立からなら、姿を見られずに相手に近づく事も可能だ。
こうなった以上は奇襲しかない。
やがてすぐ目の前まで迫った時、永岡は動いた。
「ぐぁっ……」
「う゛っ……」
まず目の前にいる二人を斬り捨て永岡は素早く茂みに隠れる。
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