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ノースレット。
『飛べない背翼種』と呼ばれる有翼人達の総称である。
彼らはその背中に動かぬ翼を持っており、総じて高い知能を持つ。
高所に小さな集落を幾つにも別けて生活し、独自の技術。そして、魔法によって飛べない事をカバーして生きている。
他のエアリアルと混在している事も多く、飛べないと言っても少々不便な程度で、どちらかと言えばその技術力と高い魔力を評価され、飛べるエアリアルと同等かそれ以上のものと扱われる事も多いそうだ。
そんな高い知能を持ったエアリアルにも、当然のことながら個人差はある。
例えば、彼だ。
「あ~、空を自由に飛びてぇなぁー!」
背中の光る翼をはためかせ、生意気そうな顔をした、少年とも青年とも見える顔のノースレットが、空を仰ぎ見てボヤく。
彼の名はレスト・ハギリオン。
両親を早くに亡くし、村外れの小さな一軒家に住む、ノースレットの青年だ。
知能自体は悪くないのだが、いかんせんそれを活かす頭が悪い。
頭が良いのと勉強が出来るのは違うとはよく言ったもので、彼はまさに、宝の持ち腐れの代名詞のようなものだった。
今回も、昔よりの夢であった「空を自分の翼で飛びたい」というものを実践し、魔法で翼自体を強化。
物質を遠隔操作する要領で翼を無理矢理動かしたのだが、結果は失敗。
上手く自由の効かない翼は、高速で彼を木々の間へと運び、多量の擦り傷を作った挙句に太い幹へと激突、大きなタンコブまで作り、心の折れた彼はそのまま若草の茂る地面へと大の字に転がったというわけだ。
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