1st.moment

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「……ねぇ上杉さん?」 「なに?」 伊達君はまた外の景色に瞳を移すと静かに口を開いた。 「告らないの?……“センパイ”に」 「告るわけ、ない」 伊達君の瞳を見つめて思わず即答した。 高校生になってもあたしは何も変わってはいない。 リアルな恋愛はきっと、あたしのバッテリーを無駄に消耗させる。 だからこうやって、ただこっそりと見つめて妄想に耽る方が何百倍も生きた心地がすると言うものだ。 伊達君のような高貴な人種の方には、きっと一生分からないでしょうけれど。 「……あ、そ」 それ以上突っ込む事もなく、彼はラスト一口のパンを口の中に放り込んだ。
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