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「だから。勝ったら話すって……そう言ったじゃん」
伊達君はそれだけ答えると、持っていた鞄を乱暴に床へと放り投げた。
その大きな音に思わず肩がびくんと飛び上がる。
彼はそのままカーテンの隙間から窓の外へと視線を移した。
「伊達君……怒ってるの?」
「……違うよ」
「じゃあ……」
思うように言葉が出てこない。
「呆れてるんだ」
伊達君は小さく呟いて、初めてあたしの方へと顔を上げた。
「真田先輩に勝てない自分に、呆れたんだよ」
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