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「……せん」
「ん…?」
「すみません…、お客さま、もう終点でございます」
「え!?あ??もう、緑ヶ丘!?」
「そうですよ。車内の掃除もありますので早く降りてください」
「あっ!!!すいません!!」
あたし、ずっと寝てたんだ!!
どうしよう…、珠稀さんのこと待たせちゃってる…。
あたしは急いで走った。
改札を抜けて外にでる。
「わぁ…!!」
風がビュオッと吹きあがり、あたしの髪をなでる。
その風はあたしの町の風とはちがくて、勢いがあって、大きくて、優しい風だった。
「すごい…」
駅を出るとそこには、一面に広がった緑の草原が、そして「矢坂邸」と刻んである石の門が建っていた。
「や…さか…邸…??」
あたしが働くお屋敷だ。
こんなに広いんだ…。
すごいお金持ちさんなんだなぁ。
あたしは少し戸惑いながらも、門に向かって歩きはじめた。
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