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「カキカキカキ…よっしゃできたぁ!!一丁あがりぃ!!」
たっちゃんは立ち上がり、僕に部員届を突きつけた。
「よろしくな!!山田!」
誰だ山田って!!
「ぼ、僕山田じゃないんですけど…」
「えっ…違うの?」
たっちゃんはあっけからんとした表情で僕を見る。
そういえば僕この人に自分の名前名乗ってなかったな。
「あの…僕の名前は小野義己(よしみ)です」
「よしみ…なんだか女みたいな名前だなぁ」
そう言うと部員届の山田克典という名前を修正し始めた。
誰だよ克典って。
「よし!じゃあこれ提出してくっから!!あとは風華よろしくぅっ!!!」
「あぁ、ちょっと!!」
もうたっちゃんはいなかった。はやっ!!
こうして体育教官室にはぼくと風華先輩が残された。
「よろしく」
勝手によろしくされてしまった。
「は、はは…」
もう笑うしかなかった。
こうして僕の嫌予感はやっぱり当たってしまった。
ものすごいパンチの聞いた人と、見た目とは裏腹に強引な人と、抗う力を持たないか弱き小鹿の僕の、三人のお話は始まる。
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