107人が本棚に入れています
本棚に追加
びしっと指を突き立てる千明に敬礼を返すと、るうさんは瓶の一本をラベルを隠すように持ち上げてみせた。
中の液体は透き通った赤。見た目は一般的ないちごシロップだけど…何が珍しいんだ?
「さあ皆さん問題です!これは何シロップでしょう?」
「え…?普通にいちご、じゃないの?」
「ん~廉くん残念!これはさくらんぼシロップでーす!」
言いながらくるりと瓶を反転させると、確かにそこには赤いさくらんぼのイラストが描かれていた。
「へぇ、さくらんぼのかき氷シロップ?確かに珍しいかも…」
「でしょ!?置いてあったシロップの種類が結構豊富でさ、その中でもあんまり見たことないやつ厳選してきたんだ」
「なるほどね…じゃ、この青いのは何ですか?ブルーハワイ…より色大分濃いけど」
ミツが指差したのは、藍色に近い深い青色のシロップ。
千明が得意げに答える。
「それはね、ブルーベリー!」
「へぇ、聞いたことない…面白いじゃないですか、他は?」
「ぱっと見はメロン、レモン、ブドウってとこだな」
「この黄緑がマスカット、黄色はグレープフルーツ、紫はハスカップだってさ」
へ~!と感嘆の声を上げる留守番組の反応に、買い出し組の二人は満足げにハイタッチを交わした。
その額に未だ光る汗を見て、さっき煎れたアイスコーヒーの存在を思い出す。
最初のコメントを投稿しよう!