107人が本棚に入れています
本棚に追加
ほどなく何やら箱を抱えたリーダーとアイスコーヒーを片手に持ったるうさん(戻るときキッチンから取ってきたらしい)が戻ってきた。
少し埃っぽいその箱をダイニングテーブルに置いて蓋を開け、リーダーは満足そうに微笑む。
「おー中はだいじょぶそうだぞ。ひさびさだな~」
言いながら両手で箱の中のそれを取り出した。
「……タヌキ」
「……タヌキだ」
「……タヌキですね」
いかにも子供向けなキャラクター顔と茶色い寸胴なフォルム、丸いお腹の部分が空洞になっていて、そこがかき氷の器を置く部分なのだとわかる。
うん、なるほどタヌキだ…。
「これ俺や真くんが小学生だったときによく使ってたやつなんだよ~懐かしいなぁ」
「えと、ていうか何でタヌキなの?似たようなのでペンギンやシロクマなら見たことあるけど…」
「氷とタヌキ、関連性ゼロですよね?」
「え…い、言われてみれば…真くん知ってる?」
「さぁ…気づいたらうちにあったからわかんねぇや。多分母ちゃんが選んで買ってきたんだと思うけど」
「まぁ面白いからいーんじゃない?ナイスチョイスだよまこちゃんのお母さん!」
こいつ顔おもしれぇ~っと笑いながらタヌキ…もといタヌキ型家庭用かき氷機をいじり始める千明。
頭のてっぺんにあるレバーを回せば、まだ氷が入っていないのでキュルキュルと空ぶった音がした。
最初のコメントを投稿しよう!