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「…とりあえず仕舞いっぱなしだったみたいだし、洗ってくるねこれ」
「お、悪いな廉、よろしく」
タヌキを持ち上げると、プラスチックっぽい見た目に反して意外とずっしり重い。
キッチンのシンクへと持っていき、頭の蓋(氷を入れるところだ)を開けて洗っているとミツがやってきた。
「廉くん、かき氷に使えそうな器ありましたっけ?」
「あーこのタヌキの腹に入る大きさじゃないとだよな…何か、ガラスのなかった?棚の左側」
「ガラス…あ、あったあった、ちょうど五つ。何でこんなのまで揃ってるんだかこの家は」
「確かそれデザート用に買ったんだよ、千明が」
同じデザインの器を五つ取り出すミツに苦笑気味で答える。
中の氷を削る刃まで丁寧に洗って水気を拭き取れば、古く見えたタヌキは意外ときちんと保存されていたらしく、表面に光沢を取り戻すまでになった。
「れーん、タヌキ洗えたら冷蔵庫の製氷室に買ってきた氷あるから一緒に持ってきて~」
「了解」
リビングから聞こえてきたるうさんの指示に従って製氷室を開ければ、すぐに未開封の氷のパックを見つけた。
それとタヌキを抱え、器とスプーンを持ったミツと共にリビングへ戻る。
千明がリビングテーブルに手を付き待ち兼ねていたように身を乗り出した。
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