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この頃の半平太は、長身で容姿端麗、文武両道で何より真っ直ぐな人格もあり、「武市先生」「黒龍先生」と呼ばれ若手の郷士からの目標であり、カリスマ性は凄まじいものがあった。
そんな皆から憧れの視線を向けられる中、たった一人だけ半平太の前で、あぐらをかき、「アゴ、アゴ」と呼ぶ者がいた。
「アゴは相変わらず卑屈なことばかり言いちゅう」
「アゴと呼ぶのは止めろと何度も言っている」
半平太の顎は特徴があり、少々角張っていたのだ。
「アザ、お前こそ、また大ぼらばかり吹いておるだろ?」
アザと呼ばれた男の体には無数の痣があり、半平太は顔をほころばせながら言った。
「わしはアザじゃのうて、龍馬じゃ」
唯一半平太が心を許す男とは、武市半平太の遠戚でもあり、無二の親友、坂本龍馬だった。
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