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また、ちょうど同じ頃、同じ郷士の吉村寅太郎が半平太に子がいないことを心配し、子供が出来ない富子を実家に帰らせ、美しい女を連れてきた。
「武市先生、今晩は、わしの親戚の娘を預かってはいただけないやろうか?」
何やら事情がありそうな雰囲気だったので、一日という約束で一部屋を貸すことにした。
そして夜になると若い娘は半平太の世話をしようとしたが、半平太は妻以外の女には決して手を出すことは無かった。
明くる日、半平太は吉村に詳しく聞くと「子のないのは天命だ。二度とこのようなことはするな」と叱りつけた。
半平太は吉村の優しさにも感謝はしたのだが、子が出来ようが出来まいが富子を生涯大切にすると決めていたのだ。
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