幕末の才器

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 文政十二年九月二七日。  秋の心地よい風が吹き抜け、夕日が沈む頃、この土佐藩土吹井村、武市家に一人の「いごっそう」が誕生した。  その者の名は半平太という。  半平太は、幼い頃より文武共に努力を惜しまなかった。  明くる日も、明くる日も、勉学、剣術、何一つ手を抜かず、人一倍鍛練を繰り返した。 「何故そこまでして頑張るのか?」  ある日、学問の師に、そう問われた事もあった。  その時は何も答えず、一礼を交わすだけでその場を立ち去ったのだが、半平太にはどうしても譲ることの出来ない熱い想いがあったのだ……。
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