攘夷

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「まずは、わしも各藩を勤王一色に染め上げることが先決かと思うております」  勤王とは尊王攘夷をさし、幕府に代わり朝廷をたてまつり、異国を武力を持って討ち払うという意味だ。  これは日本の地に足を踏み入れる異国人は、容赦なく斬り捨てるという過激な内容も含まれていた。 「そうだ。幕府はもう役に立たない。今こそ我ら志士が立ち上がる時ぞ」  高杉晋作は杯を持ち掲げた。  この頃、幕府は完璧にペリーの提示する理不尽な条約を結ばされ、これは異国から日本への宣戦布告でもあった。  ところが、当時日本の実権を握っている徳川幕府は、何も手立てはないまま異国のいいなりになっていた。  これに難儀を唱えたのが、本来実権を握っていたはずの朝廷である。  勤王の志士達は危機を感じ、朝廷とともに異国から日本を守ろうと立ち上がったのだ。
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