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「武市君、君は吉田松陰先生を知っていますか?」
一人落ち着きを払っていた久坂玄瑞が言った。
吉田松陰とは、久坂、高杉、桂の師であり尊王攘夷の第一人者であった。
もちろん半平太も、その噂は例外なく耳にしていた。
「土佐藩には上士と下士というものがあると聞きます。しかし松陰先生は身分、階級に関係なく、日本人力を合わせ立ち上がるべきだと説きました……」
これは吉田松陰の草莽崛起という考えであった。
吉田松陰は身分制度を嫌い、農民も百姓も分け隔てなく同じように教えを説き、自分の身をていして異国から母国を守ろうと戦っていたのだ。
「上士も下士も関係ありません!! 我らも松陰先生のように共に力を合わせましょう」
半平太は久坂玄瑞らと強く握手をかわした。
郷士の自分達でも国の為に何かが出来る。
これは身分のせいで理不尽な思いをしてきた半平太にとって、心底感激できる教えであった。
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