幕末の才器

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 半平太は、父と母、それから老祖母の三人で暮らしていた。  そして母は半平太を産んで間もなく病に伏せた。  半平太は、そんな母と老祖母の面倒を良くみていた。 「お機嫌いかがでしょうか?」  半平太は寝室で横になっている母へ声をかけた。 「だいぶ良くなったよ」  母は苦しそうに身体を起こすと、笑顔で返した。 「母上、好物の饅頭を買って参りました」  半平太は最近特に体調の優れない母を心配し、少しでもと塾の帰りに饅頭を買ったのだ。 「ありがとう。でも半平太、最近無理してないかい?」 「いえ、私は元気が取り柄でございますから」
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