幕末の才器

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 ここでは、上士の絶対権力のもとに事は進み、理不尽もまかり通る現実があったのだ。  半平太の父も、大変な苦労をいとなんできた。  その姿を見てきたからこそ、「両親を支えたい」そう強く願った。  しかし郷士は何処まで行っても郷士、たいていの者は絶望し諦めてしまうところだが半平太は違った。  たとえ郷士でも諦めず鍛練をこなしていれば、いつか殿の耳に名前は届くはず。  半平太の身分、白札郷士は、下級武士の中では唯一、上級武士との面会が許される下級の中では最上級の身分。  半平太はそこに賭け、ひたすら努力を重ねたのだ。
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