一章

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俺の母親を殺したのは詐欺師だった―。 『騙された方が悪い』とか良く言われたけど、俺はそれを聞く度に無償に腹が立つ―。 『もしその詐欺師が自分の親父の手下だったら…お前ら同じこと言えんのか!』 と叫びたかった。 母さんの訃報を受けた時は 『病気で死んだ』 というでっち上げ話を信じていた。 今考えれば疑う予知は腐るほどあったのに…。 ようやく気付いた時には既に時、遅し。 その気付いた切っ掛けが些細な病院内の噂―。 「あの3○6号室の患者さん、桜花家と繋がりがあったんだって。 噂じゃ、桜花家に邪魔だと思われて殺されそうになったんだって…」 「うっそ?桜花家かぁ…凄い」 そんな看護師達の井戸端会議の会話だった。 その時、一切面会謝絶だった母親は… 既にこの世に命を残していなかった。
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