一章

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「ったく、何やってんの?僕、待ちくたびれちゃったじゃねーか」 男勝りの小さな女の子…宮野 薫だった。 「あのさあ、言っとくけど、死にたいなら勝手に死んで」 ずっぱりだった。 その台詞は間違いなく、戒に向けられていた。 「それから、こいつを殺人犯にしないでくれる? ってことで僕達は帰るけど?」 すっごく強引だけど、正直助かった。 「ありがとう、薫。助かった」 折角お礼言ったのに… 「お前、死ぬなら金払ってから死ねよ!」 その言葉が愛情や心配の裏返しだって気付くには、俺は幼かった。 「誰が死ぬかよ!ってか…」 戒の方を見ると、暗くなってしまったせいで表情は見えなかった。 ―あいつは、死んじゃうのかな?
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