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もともと薫はバカみたいに体力あって、
まあ小学生の男女の体力差なんて殆ど無いのだろうけれど…
とりあえずすごい奴だった。
「…それから」
病院を抜けようとした所で、薫は急に立ち止まった。
「―ウワッ!」
ぶつかりそうになりながら踏ん張った。
「それから、泣きたいときは泣いていいんだよ?
僕は、家族を失った悲しみなんか知らないし、気持ちなんか分かんない。
でも、でもね…鳴海が悲しいのは解るよ?」
―どうして忘れていたのだろう?
薫のその顔は“女の子”だった。
誰より心配性で、人の事ならすぐ泣く奴。
確か、あの時だって、薫は泣いていた。
涙流しながら、言ってくれたんだよな…。
「鳴海は、独りじゃない」
ってさぁ…。
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