一章

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その言葉に、その存在に、俺は確かに救われた。 それでも素直に泣けなくて、つまんないプライドが目を覚ましちゃって、 「ありがと」 顔を背けてそっけなく言った。 「じゃあ、また明日」 そう言って、俺は逃げ出した。 それが薫に会った最後。 そして最期となってしまった。 俺は、桜花家を舐めていた。 いくら頭が良いからって、大の大人には叶わない。 そうだった。薫は、俺が巻き込んだ。 一人家に向かった俺は、途中から誰かに付けられた。
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